2012年5月 のアーカイブ

國府祭 こうのまち

2012年5月6日 日曜日

昨日の國府祭(こうのまち)の様子をお知らせいたします。

当社では、國府祭のご奉仕は、三ノ宮(木津根橋含む)~栗原(くりばら)~神戸(ごうど)の順であたっていて、今年は栗原地区が年番でした。

早朝6時前、先ず総代さんたちが集まって来ました。羽織袴(はおりはかま)に着替えた後、元宮へのお供えを上げて、自治会や榊会(総代OB)とともに、神輿車や運搬車に注連縄(しめなわ)を張り、祭具などの荷積みを完了。その後、青年会や行列奉仕者が次々に集まりました。

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お清めのお祓い、玉串拝礼、そして内清浄(ないしょうじょう)となる立ちお神酒(みき)で乾杯後、神輿のお立ちとなりました。

昔は八十八ヶ村の村渡しで大磯まで神輿を担いでいったというから、相当な時間と費用を要したおまつりで、天下祭りの異名をもつほど、国内(相模国)最大の催しものだったわけです。

現在は車を利用しますが、往事を知る古老たちの話はとても楽しく、村のまとまりやエピソードなど、話題の尽きないおまつりでもあります。

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金目観音(光明寺)で着御祭(ちゃくぎょさい)。ここは板東33ヶ所霊場の第7番目、天台宗の古刹(こさつ)です。

住職を始め、金目敬神講の皆さまのおもてなしでくつろいだ後、行列は御立ち。

恒例により、担ぎ手は金目川の清き流れで身を清めました。

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一路、大磯・神揃山(かみそろいやま)へ。神集山(かみつどいやま)ともいわれますが、この入口で在庁・大磯のお迎えがあり、三宮は険しい山道を上がって行きます。

神揃山祭場古図

神揃山祭場古図

途中、2ヶ所の化粧塚(けしょうづか)があり、ここで神輿の装いや衣服の乱れ等を整えます。神社を出た所にも化粧塚がありますが、昔は装束を旅装に着替えたようです。

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神揃山祭場へ到着後、一宮から順に五社(寒川神社川勾神社比々多神社前鳥神社平塚八幡宮)で着御祭(ちゃくぎょさい)を執り行います。

六社の合同祭典なので、決められた時間で動くことがとても大切です。

各社の式が終わるや否や、総代の合図で栗原祭保存会による粽(ちまき)行事が始まりました。

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4月22日の大祭同様、俵を放り上げ、中に詰まった粽を四方八方の参拝者に散り撒きました。(故に「ちまき」)

国土安泰・五穀豊穣の大願が込められた御霊(みたま)分けの吉例に倣(なら)って行われます。

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神職が各社を順にお参りする「五社列拝」(ごしゃれっぱい)の後、正午に古式「座問答」(ざもんどう)が行われます。

これは、相武(さがむ)と磯長(しなが)の両国が合併して相模(さがみ)となった時、当時それぞれの一宮だった寒川神社と川勾神社の一宮争いを儀式化したものです。

両社が神座(しんざ)になぞらえた虎の皮を上位(上座)に進めること三度、どちらも譲らぬ中で、当社宮司が進み出て、「いずれ明年まで」と仲裁に入って翌年に持ち越される、円満解決の神物語です。

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裃姿(かみしもすがた)の五社の迎神使(げいしんし)が、総社・六所神社へ神さまを迎えに出掛けます。

その後、五社同時に発輿祭(はつよさい)という御立ちの式を行い、一宮から順に神揃山を後にします。

大矢場(おおやば;逢親場とも)祭場(馬場公園)では、六所神社が五社を出迎えます。

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大矢場では、五社献饌(ごしゃけんせん)、神納対面(しんのうたいめん)、国司代奉幣(こくしだいほうべい)、神裁許の儀(しんさいきょのぎ)など、一連の神事を執り行い、一年に一度の逢瀬(おうせ)を楽しみます。

昔は、地方長官である国司がその国内安泰を図るため、有力各社に幣帛(へいはく)を奉って祈るもので、律令制度の一端であり、まさしく祭政一致そのものです。

現在では、大磯町長が平安装束を身にまとい、国司代(こくしだい)としてお仕えしています。

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帰路、伊勢原市観光協会、伊勢原市商工会、伊勢原市商店会連合会、大神宮通り商店会のお出迎えにより行在所(あんざいしょ)で休み、諸業の安全と発展を祈りました。

午後7時、満月がぽっかりと浮かび上がる中、神さまにご本殿にお還りいただきました。

暦の上では立夏(りっか)となりましたが、初夏の陽気の中、無事に賑やかに、1300年の歴史の1頁が綴られました。

と同時に、目に見えぬ神さまの神威(しんい)により、氏子中が一つとなった楽しいおまつりでした。

國府祭 動座祭

2012年5月4日 金曜日

足下は濡れていたものの、何とか雨に降られずに動座祭を斎行することができました。

総代一同

総代一同

式典の終盤、殿内が雪洞(ぼんぼり)と提灯(ちょうちん)の灯火(ともしび)のみになりました。

神職の「オーオーオーオーオーオーオーオー」という先払いの警蹕(けいひつ)の声が浄暗(じょうあん)の境内に響き渡り、神さまが無事に白木のお神輿にお遷(うつ)りになりました。

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磐座(いわくら)に神さまが降臨(こうりん)されるのと同様、神霊(みたま)の御動座(ごどうざ)はまさしく、「御生れ」(みあれ=御阿礼)の瞬間であり、「坐(いま)すが如(ごと)く」その存在を身体に感じます。

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社殿から退下(たいげ)をして参集殿に戻る際、鳥居の中央向こうに、とても綺麗な丸いお月さまが浮かんでいました。

明日はお天気で賑やかに、伝統のおまつりができることを楽しみに休みます。

國府祭準備

2012年5月4日 金曜日

30日から降り続いた雨が上がり、今朝は本当に気持ち良く境内に朝日が差し込みました。

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青空が広がり、ようやく晴れるかと思ったものの、大気が不安定で時折強く雨が降りました。

ご神前の幟(のぼり)一対を新しく調製しましたが、残念ながら立てることはできませんでした。

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それでも、明日の國府祭(こうのまち)、今宵の動座祭(どうざさい)に向けて、総代さんが集まり準備を進めました。

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総代さんは、神事に用いる竹の切り出し、注連縄(しめなわ)張り、神輿の清掃・飾り付け、竹杖(たけづえ)準備、餅つき、行在所(あんざいしょ)の祭具準備、行列具準備など、、、例年通り隈(くま)なくつとめていただきました。

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われわれ神職も、社殿の清掃設営、神饌(しんせん)買い出し、守公神(しゅこうしん)・矛(ほこ)・大麻(おおぬさ)・玉串(たまぐし)など榊の奉製(ほうせい)、奉納品並べ、祭具一式準備、装束(しょうぞく)などの用意にあたりました。

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また、婦人たちが清掃や台所準備、直会(なおらい)用意などにあたりました。

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ご神前には篤志の方から心尽くしの奉納品も賜りました。

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雨が気になりますが、潔斎(けっさい)をして身を清め、午後7時からの動座祭に臨みます。

清浄と真信

2012年5月3日 木曜日

神道の聖典は・・・?

神道には教義・教典はありませんが、神話や伝承として信仰上の拠り所となった古典があります。

「神典」(しんてん)といわれるもので、古事記、日本書紀、万葉集、古語拾遺(こごしゅうい)、風土記・・・などがそれにあたります。

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私たち神職は、座右の書として『神典』(大蔵精神文化研究所)を机の片隅に置いて、知識や教養を補完しています。

神道は日本固有の民俗信仰で、天地自然のあらゆるものに神が宿ると信じ、「産霊(むすび)の道」といわれます。つまり、全てのものを生み、育て、伸ばす、「生成発展」の道です。

雨に煙る境内

今日の境内

伊勢の神宮の外宮(げくう)神官であった度会(わたらい)氏が選述した神道五部書(しんとうごぶしょ)の一つ、『造伊勢二所太神宮宝基本紀』(ぞういせにしょだいじんぐうほうきほんぎ)に、次のように記されています。

神を祭る礼は清浄を以て先となし真信(まこと)を以て宗(むね)なす

明日は國府祭における動座祭ですが、清浄とまこと(真信・真事・真言)の境地でおまつりに臨みたいと思います。

ハナミズキ

2012年5月2日 水曜日

昨日からの雨で、牡丹桜(ぼたんざくら)が次々と散って、桜の絨毯(じゅうたん)をつくりました。

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同時に躑躅(つつじ)がどんどん花開いています。

また、花水木(はなみずき)がとても綺麗です。4月30日の日米首脳会談後の共同声明付属文書では、大震災の被災地にこのアメリカヤマボウシが約3千本贈られてくるそうです。

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残念ながら、不安定な天候が続きますが、5日の國府祭(こうのまち)準備を着々と進めているところです。

こちらは出掛ける祭典ですが、出迎える大磯の皆さんは雨で準備が大変だと思います。

國府祭で頒布する粽(ちまき)

國府祭で頒布する粽(ちまき)

日本の聖地文化

2012年5月1日 火曜日

本日、寒川神社から『日本の聖地文化』(創元社・鎌田東二編)という本の寄贈がありました。

3年前の12月28日、式内社研究(当日のブログ)のため学者の先生方が調査に来られましたが、その成果が上梓(じょうし)されたものです。

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相模の古社の地形や地層、鎮座地からの可視状況などが比較研究され、とても興味深い内容です。

パワースポット巡りや神社ガール、御朱印ブームの今日この頃ですが、古の人たちが祈りの場と定めた理由の一端を紐解ける一冊です。

居眠運転にご注意

2012年5月1日 火曜日

今日の境内は時折強く降る雨の中、雨蛙(あまがえる)が大合唱をしていました。

今朝の産経新聞「産経抄」には、江戸時代初期の笑話集『醒睡笑』(せいすいしょう)の笑話が載っていました。

大名の前で居眠りをしていた座頭(ざとう)が、咄嗟(とっさ)に頓知(とんち)を利かせて、「私らのような不自由な目まで借りに来たということは、蛙の寄り合いで、よほど目玉が必要な事情があったのでしょう」と言い訳をしたそうです。眠気は蛙が人の目を借りに来るからだという面白い発想です。

この季節はついうとうとしてしまいますが、居眠運転で人の命が失われる大きな事故が相次いでいます。身の回りでも事故の報告を耳にしますので、くれぐれも安全運転に努め、楽しい連休を過ごして欲しいと思います。

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本日は「月次祭」(つきなみさい)。皇室のご安泰と国家の繁栄、氏子崇敬者の安全と発展を祈願いたしました。

また、会社の月参りや朔日(ついたち)詣でなども前月同様ありました。

今月は、5日(土)に「國府祭」(こうのまち:県指定無形民俗文化財)が斎行されます。一宮・寒川神社、二宮・川勾神社、三宮・比々多神社、四宮・前鳥神社、一国一社・平塚八幡宮、総社・六所神社による合同祭典で、大磯の「神揃山」(かみそろいやま)「大矢場」(おおやば)両斎場において古式ゆかしく執り行われます。

また、5月19日(土)・20日(日)は、「第25回まが玉祭」が開催されます。

新緑の美しいこの季節、心新たに、心静かにご参拝ください。