比々多神社例祭(春の大祭)、午後に行われた渡御(とぎょ)から昨日の続きを記します。
定刻通り、神輿の供奉(ぐぶ)行列がお宮を出立(しゅったつ)しました。
残念ながら、神戸(ごうど)の行在所(あんざいしょ)に向かう途中、雨が落ちだしました。
三ノ宮・栗原(くりばら)から神戸渡しになるところで、「振奉幣之儀」(ふりほうべいのぎ)という神事を執り行います。
これは、「前立」(ぜんりつ)と呼ぶ御幣(ごへい)を神輿に振りかざして、更なる神威(しんい)の発揚(はつよう)をはかります。
この頃、境内の神楽殿(かぐらでん)では垣澤社中による「里神楽」(さとかぐら)の奉納が行われています。
また、多くの露店や植木市で賑わっています。
神戸の御旅所(おたびしょ)に着く頃には、降りが強くなってきました。
着御祭(ちゃくぎょさい;お着きの式)を行った後、少々休憩を取り、再び発輿祭(はつよさい;お立ちの式)の後に、お宮に向かって出発しました。
東名高速を過ぎたところから、加藤清正(三ノ宮)・熊谷直実(栗原)・先代萩の男之助(神戸)のからくり人形をのせた山車が合流。
東名高速がつくられてからは、山車の高さの方が高いため、やむなく今の所から山車が出るようになりました。
山車には神さまが降臨(こうりん)するため、その昔は各字(かくあざ)が高さを競ってより高くしていました。その頂きには御幣が立てられました。
宮入りの頃には賑わいも一段と大きくなり、神輿・山車が連なってなんともいえぬ光景です。
神さまの神霊(みたま)をすぐに本殿へとお遷(うつ)しし、無事鎮座したことを寿(ことほ)いで、神霊分け、福分けの行事である粽(ちまき)行事を執り行います。
神戸・栗原・三ノ宮の青年会長が粽の詰まった俵を参道で頭上に掲げもち、俵が3つ揃ったところで放り上げます。
各会員がかたまりとなって繰り返し放り上げるうちに俵の縄がほどけ、その途端に中に入った粽を “ 散り撒く ” ように四方八方へ撒きます。当社では、この動態から「ちまき」というと伝えられています。
雨に濡れながらも、青年の熱気や迫力に、自然と笑顔がもれました。
一体となるおまつりの醍醐味(だいごみ)です。
伝統のおまつりの重みをしっかりと感じながら、今年もその一頁を重ねられたことの幸せに酔いしれました。
撮影:増山正芳