2020年5月 のアーカイブ

岩田帯の効果

2020年5月31日 日曜日

皐月(さつき)晦日(つごもり=月の最終日)の日は、日曜日の戌の日(いぬのひ)でした。

多産で安産、そして邪気(じゃき)を祓うとされる犬にあやかり、自粛生活でこの日を心待ちにしていたと思われる妊婦(にんぷ)さんが数多くお参りになりました。

当社では安産の祈願者に特別奉製(とくべつほうせい)の「祝田帯」(いわたおび)をお頒(わか)ちしていますが、「岩のように丈夫に育ちますように」との意から、この日に岩田帯をしめます。

語源は「斎肌帯」(いはたおび)ともいわれ、「胎児を保護してその位置を安定させる」「お腹を冷やさない」「胎児が育ち過ぎない」などの効果があると考えられ、何より母体に精神的・心理的な安心感をもたらすとされます

斎田帯

岩田帯

感染症予防のため一組ずつのご案内となり、時間帯によっては待ち時間が長くなったと思われますが、丈夫で元気な赤ちゃんを授かって欲しいと思います。

第二駐車場の開放

2020年5月30日 土曜日

今日は気温・湿度ともに高く、熱中症の危険もあってマスクを時折外して過ごす一日でした。

緊急事態宣言解除後の土曜日、そして大安とあって、昇殿祈祷(しょうでんきとう)の予約が重なり、閉鎖していた第二駐車場を開放することになりました。

都内や他県ナンバーの車も見られ、徐々に人の移動が活発になっていることの証左(しょうさ)といえます。

第二駐車場

第二駐車場

神社ではこれまでと変わらずに感染症対策を施していますが、昇殿祈祷では手指の消毒、マスク着用の上で1組ずつ対応させて頂いています。

また、御神札授与所(おふだじゅよしょ)では、直接手が触れないように授受(じゅじゅ)を行い、おみくじは未だ控えています。

御朱印は書置きのみの対応で、4種類準備しています。(当社の朱印帳をお受けの方は可能)

今後ともご理解ご協力をお願い申し上げます。

山帽子の総苞

2020年5月29日 金曜日

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が25日に解除され、当市では6月1日から小中学校の教育活動が段階的に再開となります。

しかしながら、未だ緊張を緩めるわけにはいかず、本格的な経済活動が始まるのは未だ先になりそうです。

神社における対策も、現状では緊急事態宣言の最中と変わらずに継続する予定です。

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さて、今年は神社下の御神田での稲作体験は見送りとなりましたが、今日は神奈川県神道青年会による「くろつけ」作業が行われました。

御田植ゑの神事は、6月2日に縮小した形で執り行われるようです。

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境内ではミズキ科の落葉高木(らくようこうぼく)の山法師(やまぼうし:山帽子、別名:山桑)が、球状に集合した花を咲かせようとしています。

よく間違えられますが、少し前に咲く花水木(はなみずき)と同様で、白い4片(写真)の花弁のようにみえる部分は苞(ほう:包)または総苞(そうほう:総包)といい、花の基部(きぶ)につく葉(包葉)なのだとか。

新緑の葉に白い苞片(ほうへん)の色が美しく、その野趣(やしゅ)に魅力を感じますが、大型な総苞は昆虫の誘引器官ともなるようです。

9月には真っ赤に実が熟し、11月には紅葉を楽しむことが出来ます。

雨蛙と田植え

2020年5月26日 火曜日

境内では、紫陽花(あじさい)の辺りから湿度に敏感といわれる雨蛙(あまがえる)の雄(おす)が、「ケケケケ ケケケケ クワクワクワ」と雨鳴き(あまなき=レインコール)を繰り返し、田んぼに水が張られるのを待っているようです。

英語で雨蛙を調べると、樹上で生活していることもあり tree  frog とあります。

日本でも別名を枝蛙(えだかわず)といい、日本語の奥深さを感じるものです。

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民間信仰でいう田の神は、山の神が田の神となって里に降り、稲田の生育を守り、秋には再び山に帰っていくと信じられてきました。

五月(さつき)、早苗(さなえ)、早乙女(さおとめ)、さおり(=さびらき:田植え前に田の神を迎える行事)等、「さ」は接頭語(せっとうご)で稲魂(いなだま)を意味しています。

当地では間もなく田植えの時期を迎えますが、皐月躑躅(さつきつつじ)が綺麗に咲き、五月晴れ(さつきばれ)や五月雨(さみだれ)の季節です。

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疫病と祈り

2020年5月25日 月曜日

3月9日のブログ三之宮通信「祈 疫病退散 早期終息」に記載しましたが、兼務社の日月神社(伊勢原市沼目)の境内社(けいだいしゃ)・疫(えき)神社には、医療の神として称(たた)えられる大物主神(おおものぬしのかみ)がお祀(まつ)りされています。

記紀(きき;古事記と日本書紀)には、この神さまの御神威(ごしんい)により、流行病(はやりやまい)が治ったことが以下のように記されています。

「役氣(かみのけ)悉(ことごと)に息(や)みて國家(あめのした)安平(たいら)ぎき」

『古事記中巻(崇神天皇)』

「疫病(えやみ)始めて息(や)み、國の内(くにのうち)漸(やややや)に謐(しづま)り」

『崇神天皇紀』

祈願絵馬

奉納絵馬(当社拝殿)

仏教伝来の折、受入れに積極的な蘇我(そが)氏と反対派の物部(もののべ)氏による対立が生じたことを歴史の授業で学ぶと思います。

その当時に大規模な疫病(えきびょう)が流行していて、その原因が仏像を尊ばなかったから(蘇我氏)、外来を受け入れたから(物部氏)として、大きな争乱となったことが『敏達(びたつ)天皇紀』から読み取ることが出来ます。

疫病の名は記されていませんが、ここには〝瘡〟(もがさ)と記されています。痘瘡(とうそう)、疱瘡(ほうそう)、天然痘(てんねんとう)のことであり、ウイルス感染による伝染病です。

兼務社の御嶽神社(伊勢原市伊勢原)の境内社には〝かさ神さま〟が祀られています。

「かさ」は「瘡」のことで、伝染力が非常に強く恐ろしい疫病に罹(かか)らぬよう、無事に治るよう、江戸の大山詣りの人たちも立ち寄ったと思われます。

「疫病と祈り」の関係を歴史から学べます。

微笑ましい撮影風景

2020年5月24日 日曜日

4月7日に発令となった緊急事態宣言ですが、政府は明日25日に全面解除の方向で方針を固めたようです。

神奈川県内では人口あたりの新規感染者数が、目安より依然として高い数値で推移していますので、引き続き緊張感を保たなければなりません。

また、今日は最高気温が25度を超す夏日となり、マスクによる熱中症の危険にも注意を払うようです。

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神社では感染症予防の対策をこれまでと同様(最新情報の4/8・4/9)に施しますが、状況を捉えながら勘案(かんあん)したいと思います。

そのような中、今日は比較的参拝者の多い一日となり、事前予約の初宮詣りを始め、医療関係者の安全祈願等をお仕えしました。

初宮詣りでは提携の写真スタジオの他、出張撮影のカメラマンによる撮影もあり、微笑ましい場面が垣間見(かいまみ)られました。

尚、御朱印もしばらくは書置き(紙)対応となります。

相模國府祭の記事

2020年5月21日 木曜日

梅雨のような天気が続き、肌寒く感じる数日ですが、来週は気温や湿度が上がるとの予報です。

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明日発行の『伊勢原タイム』に相模國府祭(臨時祭と総社御大祭)の記事が掲載されますのでお知らせ致します。

不祥を解除

2020年5月20日 水曜日

例祭(4月22日)、相模國府祭(5月5日)、まが玉祭(5月16日・17日)、崇敬者祭(6月21日)に続き、夏越大祓(6月30日)も新型コロナウイルス感染症の影響により変更を余儀なくされました。

関係者との話し合いの結果、本年の夏越大祓は、7月25日(土)午後2時に執り行うことになりました。

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大祓の神事では、人形(ひとがた)に息を三度吹きかけ、身体を撫(な)でて自身の罪・穢(けが)れを移しますが、本年に限り「息の吹きかけはせず」に行う予定です。

夏越大祓は六月大祓(みなづきのおおはらえ=水無月大祓)ともいいますが、過去には7月20日に執り行っていて、これは旧暦では水無月にあたります。

今年編纂(へんさん)から1300年目となる『日本書紀』には、大祓は〝大解除〟(おおはらえ)と記されていて、まさに緊急事態宣言からの大きな解除にあたります。

また、『令義解』(*りょうのぎげ)にある大祓の註釈(ちゅうしゃく)には、「祓えとは不祥(ふしょう)を解除(かいじょ)するをいう」とあり、不祥(①縁起の悪いこと、不吉なこと②災難、不運)をすっきり除くための大切な行事ともいえます。

*平安初期「養老令」(ようろうりょう)の官撰注釈書

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我が国の長い歴史の中で、自然災害の発生はもとより、様々な疫病が流行する度に、大きな祓えを行うことで心を鎮め身を清め、蘇(よみがえ)り[甦(よみがえ)る・黄泉(よみ)からかえる意]を図ってきました。

大祓は全国津々浦々の神社でも行われます。

各地域でしっかりと行うことで、あらためて悪疫退散、厄災消除の祈りをこめたいと思います。

無事出産を願う

2020年5月19日 火曜日

急な雨や雷雨の予報も出ていましたが、午前9時過ぎには雨も上がり、晴れ間も出ました。

平日ながら今日は安産の吉日で戌(いぬ)の日。

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コロナ禍(か)の状況もあり、予約の方々のみでしたが、無事出産を願う妊婦さんがお参りになりました。

今月はもう一回、月末の31日(日)に戌の日があります。

何とか緊急事態宣言が解けて、少しでも良い状況でお参りになれることを願います。

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神慮を和める

2020年5月18日 月曜日

木々に降りかかる雨が、青葉を艶(つや)やかにしています。

週明けの大安吉日、小雨も止んで予定通りに地鎮祭(じちんさい)の奉仕がありました。

鎮物

鎮物

地鎮祭は建物の建築、あるいは土木の着工にあたり、土地の守護神(しゅごしん)を祀(まつ)って神慮(しんりょ)を和(なご)め、工事の安全無事、土地の平安堅固(へいあんけんこ)を祈願する祭りです。

祭儀では地鎮(とこしずめ)の儀として、米・塩・切麻(きりぬさ)を土地の四方に散供(さんく)し、忌鎌(いみかま)、忌鍬(いみくわ)、忌鋤(いみすき)により刈初(かりぞめ)、穿初(うがちぞめ)を行い、鎮物(しずめもの)を埋納(まいのう)して土地の神霊を和め鎮めます。

持統天皇紀冬5年10月27日には、「使者(つかい)を遣(つか)わして新益京(しんやくのみやこ)を鎮祭(しずめまつ)らしむ」とあるのが地鎮祭の初見(しょけん)とされます。

新益京(あらましのみやこ)は奈良県橿原市(かしはらし)高殿(たかどの)を中心とした大和三山(やまとさんざん)に囲まれた地域で、現在では藤原京と呼ばれています。

平城京に遷都するまでの3代(持統天皇 文武天皇 元明天皇)16年間の都ですが、日本最初の条坊制による都であり、大宝律令による律令国家の時代で、最古の貨幣といわれる和同開珎(わどうかいちん)が発行されました。