2020年5月25日 のアーカイブ

疫病と祈り

2020年5月25日 月曜日

3月9日のブログ三之宮通信「祈 疫病退散 早期終息」に記載しましたが、兼務社の日月神社(伊勢原市沼目)の境内社(けいだいしゃ)・疫(えき)神社には、医療の神として称(たた)えられる大物主神(おおものぬしのかみ)がお祀(まつ)りされています。

記紀(きき;古事記と日本書紀)には、この神さまの御神威(ごしんい)により、流行病(はやりやまい)が治ったことが以下のように記されています。

「役氣(かみのけ)悉(ことごと)に息(や)みて國家(あめのした)安平(たいら)ぎき」

『古事記中巻(崇神天皇)』

「疫病(えやみ)始めて息(や)み、國の内(くにのうち)漸(やややや)に謐(しづま)り」

『崇神天皇紀』

祈願絵馬

奉納絵馬(当社拝殿)

仏教伝来の折、受入れに積極的な蘇我(そが)氏と反対派の物部(もののべ)氏による対立が生じたことを歴史の授業で学ぶと思います。

その当時に大規模な疫病(えきびょう)が流行していて、その原因が仏像を尊ばなかったから(蘇我氏)、外来を受け入れたから(物部氏)として、大きな争乱となったことが『敏達(びたつ)天皇紀』から読み取ることが出来ます。

疫病の名は記されていませんが、ここには〝瘡〟(もがさ)と記されています。痘瘡(とうそう)、疱瘡(ほうそう)、天然痘(てんねんとう)のことであり、ウイルス感染による伝染病です。

兼務社の御嶽神社(伊勢原市伊勢原)の境内社には〝かさ神さま〟が祀られています。

「かさ」は「瘡」のことで、伝染力が非常に強く恐ろしい疫病に罹(かか)らぬよう、無事に治るよう、江戸の大山詣りの人たちも立ち寄ったと思われます。

「疫病と祈り」の関係を歴史から学べます。