神社に参拝すると、参道の両脇などで “ にらみ ” をきかせているのが「狛犬」(こまいぬ)です。高麗犬・胡麻犬と書くこともあります。
神社の境内では、石造のものを目にすることが多いですが、社殿内部で見られる木彫や陶製、また金属製のものもあります。
比々多神社『天保社伝記』には、「何人ノ作ナルコトヲシラズ」とありますが、高さ1尺3寸余り、古を帯びていて、石造・金属製にはない木彫ならではの柔軟な味わいが深く、当時(7世紀頃)の彫刻技術を今に伝えます。頭の巻毛(まきげ)が簡素で、四股(しこ)は長め、現在の狛犬は頭が大きいのに比べ、身体の均整がよく調和して、逞(たくま)しさの中にも軽快さと品位が感じられます。関東最古の狛犬ともいわれています。
宮中では、御簾(みす)や几帳(きちょう)の裾(すそ)に、鎮子(ちんす=重し)として木彫の狛犬一対を置いていたそうです。
平安時代の『類聚雑要抄』(るいじゅうぞうようしょう)には、「左獅子 於色黄 口開 右胡麻犬 於色白 不開口在角」と記されています。つまり、左が獅子で口を開き、右が狛犬で口を閉じ角があるということです。この、左とは神さまから見てのことなので、向かって反対ということです。
狛犬の材質や形、表情などは時代や地域などにより様々です。
それでは、全国の神社で出会った狛犬の一部をご紹介いたします。