2012年8月29日 のアーカイブ

先人の叡智に学ぶ

2012年8月29日 水曜日

昨日、第14回伝統文化セミナー「自然災害と復興-先人の叡智に学ぶ-3」が神社本庁において開催されました。

第1部講演の講師には、京都大学教授・佐伯啓思氏。

第2部座談会では、フリージャーナリストの山村明義氏が司会をつとめ、佐伯氏、國學院大學教授・岡田荘司氏、(株)海洋プランニング・熊谷航氏という豪華な面々。

座談会

座談会

マスコミを対象に行われたセミナーのため、大人数ではありませんでしたが、「自然災害とともに歩んで来た日本人の精神の軌跡をたどり、復興に向けた神社の使命、自然との共生や文明のあり方などを模索する」という趣旨にかなった内容となりました。

疫病や地震、津波、台風、噴火など、災害列島といわれる日本では、それらが神社やおまつりの起源となっていること、大災害が記録となり、その苦難を防ぐ「まつり」が毎年繰り返し行われることにより、組織の秩序となり、共同体の維持機能を成している。(岡田氏)

そういった国難から先に進めるために、何らかの儀式は必要であり、〝政教分離〟の本当の意味を国や自治体は考え直すべきであり、解釈を正す必要性がある。(佐伯氏)

どこの地域でも、おまつりが人々の心の復興を果たしている。(山村氏)

植林や植樹のあり方

資料  植林や植樹のあり方(熊谷氏)

鎮守の森は、感謝(恵み)と畏れというグレーゾーンを形成し、そういった考え方が共生を生む。(熊谷氏)

西洋では、病気に薬、津波にスーパー堤防という専門家の仕事であるが、多重防災、様々な知恵を総合化する必要性。生物多様性や多神教の考えが大切。(佐伯氏)

理屈ではなく、千年以上続いてきた「神社やまつり」の中に、復興への精神が見いだせる。(熊谷氏)

この度の大震災では、結びや絆が表現されたが、大きな結びやつなぎを神社は昔からもっていた。(山村氏)

戦後の復興は米国の方針であり、価値観が表面から消え、個人主義、経済主義が横行し、自然観、人生観、歴史観という人間を支えるものが失われた。そういう精神、価値の見直しが復興に最も必要。(佐伯氏)

私たちは、この地域に何のために生きているのか(熊谷氏)、何が大切なのか、何を守るべきか(佐伯氏)、古典や信仰を学ぶことで失ったものを探る(岡田氏)、これらが次世代への投げかけ。

先人の叡智に学ぶことの大切さを再認識いたしました。