2013年5月7日 のアーカイブ

卯の花と卯月鳥

2013年5月7日 火曜日

一昨日(5日)は二十四節気の「立夏」でしたが、夏立つ、夏来る、夏めくなどと同様、代表的な季語となっています。連休に青森から桜の便りが届きましたが、気象的にはいまだ春といった感が強いです。

しかしながら、さわやかな風、新緑の目にまばゆい季節は、夏の気配を十分に感じます。

花の生産者から初夏を感じる百合(ゆり)と梅花空木(ばいかうつぎ)を頂き、社務所に飾っています。

百合(ゆり)と空木(うつぎ)

百合と空木

空木の花を卯(う)の花ともいいますが、古くから歌の題とされたようです。

五月山(さつきやま)卯の花月夜(づくよ)ほととぎす

聞けども飽かずまた鳴かぬかも 『万葉集』よみ人知らず

国府祭(5日)の神揃山(かみそろいやま)での神饌(しんせん=お供えもの)には、当社では粢(しとぎ)といって、上新粉(じょうしんこ=米粉)を蒸してつき、楕円形(卯の花の形)にして供え、そこに卯の花を添えます。

「しとぎ・卯の花」 (右手前)

「しとぎ・卯の花」 (右手前)

二十四節気は、一年を二十四等分した気候の推移を示す基準点ですが、各一気をさらに三等分して細かくした時候を「七十二候」(しちじゅうにこう)といいます。

これらは自然現象や植物、虫、動物、魚などで表現されていますが、鳥に関するものが多いのも特徴的です。鳥類は季節に先駆けて飛来し、飛び去っていくことを昔の人はよく観察していたと感心します。

新緑の境内には多くの鳥が飛んで来ますが、空高く自由に飛ぶ鳥には、霊力を感じることさえあります。

夏鳥の時鳥(ほととぎす)は卯月鳥といわれ、「春の花、夏の時鳥、秋の月、冬の雪」と称されるほど、古くから詩歌によく詠われ、前出のように卯の花とともに詠まれることが多いようです。

また、田長鳥(たおさどり)の異名もあり、田植えを知らせる鳴き声ともいわれます。今日は神奈川県神道青年会の有志が、御神田の種まきを行いました。時鳥の鳴き声を境内で聞いて、夏の気配を感じてみませんか。