2011年8月9日 のアーカイブ

蝉について

2011年8月9日 火曜日

本日は、風が吹いていたので木陰はいくらか楽でしたが、日向では何と35℃を超えました。

境内では、蝉が一斉に鳴いてています。

(写真は御神木の大注連縄に集まった蝉の脱け殻)

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「沛然(はいぜん)たる驟雨(しゅうう)」(急に盛んに降り出して間もなく止んでしまう雨の意)から、蝉時雨(せみしぐれ)というようですが、鳴くのは雄(おす)だけです。鳴かない雌をおしぜみ(唖蝉)といいます。

昼間は圧倒的な勢いで、油を揚げるようにジージージーと油蝉(アブラゼミ)が鳴いています。時折、ミインミンミンと深山蝉のミンミンゼミ、関西に多い山蝉といわれるシャーシャーシャーの熊蝉は当地では朝夕耳にします。夕方聞くカナカナカナの蜩(ヒグラシ)は、万葉集では、「日晩」(ひぐらし)として広く蝉の総称で用いられているようです。オオシイツクツクのツクツクボウシ(法師蝉)は、蜩とともに秋の蝉として寒蝉(かんぜみ)といわれます。

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蝉の幼虫は種類にもよりますが、土中に数年から10年以上も生活して、地上の生活は僅か1週間程度と、はかない生涯を過ごします。蝉の脱け殻を空蝉(うつせみ)といいます。

ウツシ(現)オミ(臣)の約ウツソミが更に転じて、現人(うつせみ=この世・世人)となり、「空蝉」は当て字(『広辞苑』)とありますが、目に見えない神さまに対して目に見える存在ということでこの世の人と用いられています。

空蝉は、葬儀に奏上する祭詞では、枕詞として「世」「人」「命」にかかる「はかなさ」「空しさ」の表現でよく用います。