神職の行法(ぎょうほう)に禊祓(みそぎはらえ)があります。水につかって心身を祓い清めることです。
その起源は、イザナギノミコトが亡き妻イザナミノミコトに会いに黄泉(よみ)の国を訪れ、その身についた穢(けが)れを祓い清めるため、筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小戸(おど)の阿波岐原(あはぎはら)で、禊祓をしたと古事記・日本書紀に記されています。
則ち、禊とはミ(身)についた穢悪を水の浄化によってソグ(削ぐ)ということです。水につかる、または水をかぶり、身も心も清め自己の魂を振り起こし、心身の調和を図り、甦りをすることです。水の霊力にふれることが大切なのです。
百人一首でも有名な藤原家隆の和歌(『新勅撰和歌集』)に、
風そよぐならの小川の夕暮れは禊ぞ夏のしるしなりける
とあります。これは、六月大祓(みなづきのおおはらえ)を歌ったものですが、神職の研修では大寒の寒中禊を行うこともあります。
白褌(しろふんどし)に白鉢巻きの姿となり、祓詞(はらえことば)、鳥船行事、雄健(おたけび)行事、雄詰(おころび)行事、気吹(いぶき)行事、身滌(みそぎ)行事という流れで行います。
鳥船の行は、天海(空)をこぎ渡るような雄大な気持で3つの所作を行い「イエーッ エーイッ」「エーイッ ホ」「エーイッ サ」と元気に声を出します。途中3首の和歌を唱えます。
朝夕に 神の御前(みまえ)にみそぎして すめらが御代(みよ)に仕えまつらむ
遠つ神 固め修めし大八洲(おおやしま) 天地(あめつち)共にとはに榮えむ
天津神(あまつかみ) 國津神(くにつかみ)たちみそなはせ おもひたけびて我が為(な)す業を
残念ながら、研修中につき画像を添付できませんが、今朝は五十鈴川(神路山に発し三重県伊勢市を流れる清流)で禊祓を行いました。