2012年12月26日 のアーカイブ

巳のお話

2012年12月26日 水曜日

昨日、例年のように干支(えと)の絵画がやってきました。

石井行氏(藤沢市)によるもので、拝殿に一年間掲げさせていただきます。

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明年は平成25年、癸巳(みずのとみ)歳、皇紀2673年(初代・神武天皇御即位を元年とする日本の紀年法)、西暦2013年です。

昭和以来88年、大正以来102年、明治以来146年となります。

「癸巳」は六十干支の30番目、「癸」は十干の10番目で、水の弟です。「巳」は十二支の6番目で、動物では蛇(へび=古称・へみ)が充てられています。(*十干十二支について

上巳(じょうし=五節句の一・桃の節句)のように、「巳」は本来は「し」と読み、頭と体ができかけた胎児を描いた象形文字です。「已(や)む」という意味があり、草木の生長が極限に達して次の命が育まれる意をもつようです。

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ギリシア神話やグリム童話と同様、日本では古くから蛇や馬、猿、犬、河童(かっぱ)など、〝 異類婚 〟(いるいこん)の昔話や説話、民話が残されています。

中でも、蛇と人間との婚姻譚(こんいんたん)として「蛇女房」(へびにょうぼう)や「蛇婿入り」(へびむこいり)などがよく知られています。

また、『古事記』『日本書紀』に描かれた素戔嗚尊(すさのおのみこと)による八岐大蛇(やまたのおろち)退治の神話はあまりにも有名です。尊が助けた奇稲田姫(くしいなだひめ)や簸之川(ひのかわ)との関係から農耕や治水の象徴ともいえます。

大物主神(おおものぬしのかみ)の神話には、「御諸山」(みもろやま)、「美和山」(みわやま)と記される奈良盆地の青垣山(あおがきやま)・三輪山(みわやま)に鎮まる神さまと蛇の関係が描かれています。

弁天さまや蛇神信仰には、水や農耕との深い結びつきがあり、白蛇と財運などの関わりについても風習として残っています。

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神・社・杜・祈・祷・礼・祝・祠・祇・祖・祓・禰・禊などの示偏(しめすへん)の文字は、神や祭りと関わりのある字を形成していますが、祀り(まつり)の「祀」は、まさに興味深いところです。

蛇は私たちの生活では身近な存在で、恐ろしい、不気味なものですが、一方で先人たちが生み出した霊性の高い存在として、畏敬(いけい)の念を抱くことの大切さを示唆してくれるものではないでしょうか。

竹へび(大山の郷土玩具)意匠の記念切手 

竹へび(伊勢原市大山の郷土玩具)意匠の記念切手 

何度も脱皮を繰り返すことから復活と再生の象徴ともいえる蛇の生命力にあやかりたいところです。