2015年10月2日 のアーカイブ

神社で考える憲法問題

2015年10月2日 金曜日

本日は神社で考える憲法問題について記してみたいと思います。

日本人が古くから大切にしてきた正直、勤勉、親切、品位、節度、調和といった道義、道徳の道筋は日本人の美徳であり、それらは長い年月をかけて歴史や伝統、そして様々な文化によって育まれ、家族の絆や地域の連帯、あるいは自然環境なども保ってきました。これらが崩れ、失われることで神社のお祭りやお寺の護持運営などにも困難な問題が生じています。

農業や林業、水産業など、私たちの暮らしと神社の結びつきは非常に強く、しかしながら、自然そのものであり、年中行事や人生の節目のお祝いなどにも表れています。

敗戦時に無念の内に受け入れざるを得なかった現憲法は、昭和の不平等条約といってもよく、聖徳太子の十七条憲法や鎌倉幕府の貞永式目、五箇条の御誓文や教育勅語、そして明治憲法(大日本帝国憲法)とは大きく異なり、残念ながら日本らしさ、日本人の心が存在しません。

世界の成文憲法を保有する188ヶ国の中では、古い方から14番目、改正されていない成文憲法の中では世界最古、つまり日本より古い13ヶ国の憲法は時代に応じて改正を経験しています。

因みに、アメリカは18回改正し、27ヶ条を追補、ドイツは57回、フランスも24回改正しています。

未来の子供たちのためにも戦後の宿題を片づけるのが今を生きる私たちの責任です。

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先ずは、憲法の「前文」です。

ここには日本らしさが記されるべきであり、国民の自由な意思のもとに、自主的に作り上げられた自信と誇りのもてるものでなければなりません。そして、悠久の歴史と伝統によって育まれた日本の国柄がごく自然に記されるべきです。

次ぎに「天皇条項」です。

万世一系の天皇を頂く国家は世界で唯一であり、各国からの国際的な対応を見ても、天皇は国家の元首であり国民の心情では象徴そのものです。

毎月一日・十五日の月次祭、朝夕の日供祭はもちろんのこと、全国津々浦々の神社において、例祭(大祭)では皇室の御安泰と御繁栄を祈り上げています。

次ぎに、「政教分離規程」です。

古来より神仏と深い関わりの中で私たちは生活を営んできました。地域の老若男女が数多集い、公の要素の強いお祭りに公人が参列出来ない、基礎的な神話さえ公教育の場で教えられないのは、社会としてとても大きな損失です。

次ぎに「家族条項」です。

渋谷区では同性パートナー条例が施行されていますが、夫婦別姓などにより、伝統的な家族観が崩れて始めています。教育の現場でも混乱が生じる問題ですが、男らしさ・女らしさを活かすことにより、社会の均衡が保たれ、社会の一番小さな共同体である家族があってこそ、自治会や地域共同体も保たれます。家族を尊重することで行きすぎた個人主義にも歯止めが掛かります。

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次ぎに「安全保障」です。

天皇陛下には「民安かれ、国安かれ」と日々祭り主としてお過ごしになられ、自然災害が発生するたびに、被災者に寄り添われています。私たち神職が奏上する祝詞においても恒久平和を神々に祈るのが和を尊ぶ日本人の表れともいえます。安全保障関連法案が成立しましたが、領土や領海、領空はもちろんのこと、海外の邦人が安全に安心して暮らせるように願うばかりです。

次ぎに「緊急事態条項」です。

現行憲法の最大の欠陥の一つともいわれますが、予想不可能な甚大な災害や疫病の蔓延、テロなどの外敵に対する対応は国民の生命に直結する問題です。

次ぎに「環境保全条項」です。

美しい国土を守るために環境権は重要です。伊勢の神宮の式年遷宮では、常若の精神で建替を20年ごとに行っていますが、木を育てる文化、自然を神として敬い畏れ、共に生きるという考えを後々までも伝えていくべきです。

次ぎに「改正規程」です。

連合国総司令部により改正出来ないようにつくられた現憲法ですが、厳しい規定そのものが私たちの権利を奪っているとも考えられます。上記のことを考えれば、日本人が日本らしく生きるために、見直しが図られるべきといえます。