‘なぜ?なに?’ カテゴリーのアーカイブ

妊娠と出産

2015年5月10日 日曜日

今日は安産祈願の吉日「戌の日」。

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赤ちゃんが誕生してから成長する過程の中で行われる「人生儀礼」の最初にあたるのが「帯祝い」であり、安産祈願です。

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犬が多産であり、邪気を祓う動物と考えられていることから、安定期である妊娠5ヶ月目の戌の日に、腹帯(岩田帯)を巻いて「帯祝い」をします。

特別奉製「腹帯」

特別奉製「腹帯」

腹帯は胎児を保護する意味やお腹を冷やさないなどの役目、また母親にとって精神的・心理的な安らぎをもたらしてくれるものです。

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古くから妊娠中には葬式に参列しない、火事を見ないなどの〝 禁忌 〟(きんき)がありますが、飲酒・喫煙はもちろんのこと、食べ物についても多くの制限(禁忌)があります。

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妊娠と出産は緊張に包まれたものであり、周囲の配慮が必要な、最も尊いものといえます。

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神池のカモも産卵期を迎えています。

常磐木落葉

2015年5月9日 土曜日

本日は土曜日の大安とあって、内に外に予定の多い一日となりました。

欅 ( けやき )

欅 ( けやき ) の御神木

若葉が目映(まばゆ)い境内ですが、意外に落葉があります。

杉や樫(かし)、椎(しい)、樟(くす)など、一年中緑葉を保つ常緑樹(じょうりょくじゅ)が新葉を整えて古い葉を落とす、〝 常磐木落葉 〟(ときわぎおちば)です。

柏(かしわ)は落葉樹ですが、新芽を見届けてから古葉が落ちることから、〝代が途切れない〟という縁起物として「柏餅」(かしわもち)に用いられています。

常磐木落葉

常磐木落葉

今晩は神葬祭のご奉仕ですが、父母あっての私たち、そのご恩、お蔭に感謝です。

父母はわが家の神わが神と心つくしていつけ人の子 本居宣長

靖國神社参拝研修会

2015年4月28日 火曜日

今日4月28日は、昭和27年にサンフランシスコ講和条約が発効され、日本が占領政策から解放され、真の主権を回復した独立の日です。

日本では国民の祝日として「建国記念の日」(2月11日)や「天皇誕生日」(12月23日)が祝日となっていますが、アメリカやロシアなど「独立記念日」が国民の日(ナショナルデー)となっている国は数多くあります。

来年から8月11日が「山の日」として祝日に加わりますが、国の歴史として意義ある日が選ばれるべきだと思われてなりません。

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さて、今日は神道政治連盟東京都本部・神奈川県本部合同の靖國神社参拝研修会が開催されました。

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両都県の神職はもとより、国会議員、都・県議会議員、市議会議員が大勢参加しました。

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遊就館をゆっくりと拝観した後、ご本殿において心静かに拝礼しました。

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その後、参議院会館に場所を移し、八木秀次氏をお招きして憲法改正についての勉強会を実施しました。

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また、衆参両院議員による国政報告など、多くのお話を頂く機会を得ました。

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今年は戦後70年ですが、神社では9月を目安に、氏子崇敬者を対象にしたバスによる靖國神社参拝旅行を実施する予定です。

懐に帰する

2015年4月19日 日曜日

伊勢原市議会議員選挙が始まり、今日は神社脇の道路を街宣車が数多く通り過ぎました。

お参りされる候補者、車内から一礼する運動員など、それぞれの様子が鳥居の内から見られました。

心は見えませんが心の有り様は形に表れるものです。

1週間という短期決戦ですが、これまでの活動の成果が形となってもたらされるよう願うばかりです。

さて、今日は五十日祭・埋葬祭のご奉仕がありました。

五十日祭

五十日祭 斎場

影かたちその源は二つなし死生やともに一筋の道 中西直方 『 死道百首 』

日が陰(かげ)り影が見えなくても、影は無いとはいえない。魂は見えないからといって無いとはいえない。心も同様といえます。

生あるものの定めですが、死して祖霊(それい)の懐(ふところ)に帰するという信仰は、温かで落ち着く気持ち、安堵を与えてくれます。

埋葬祭 奥津城(墓所)

埋葬祭 奥津城(墓所)

一連の葬儀を無事終えて忌明(きあ)けとなりますが、ご遺族一同も代々の祖霊が鎮まる墓所において、少しく安堵の面持ちでした。

祖霊祭祀

2015年3月16日 月曜日

週の始まりの月曜日、気温が15℃を越えて暖かな一日となりました。

スギ花粉の最も多い時期ですが、午後からは雨が降り、アレルギーの人には潤いの雨かもしれません。

さて、明後日は彼岸の入りとなりますが、今日は年祭(ねんさい)のご奉仕がありました。

一年祭(斎場)

一年祭 ( 斎場 )

神葬祭(しんそうさい=神道の葬儀)では、帰幽(きゆう=亡くなること)当日を基点に、五十日祭、百日祭、一年祭などの霊前祭(れいぜんさい)を経て、御霊代(みたましろ)は先祖累代(せんぞるいだい)の祖霊舎(それいしゃ)におまつりされ、一家の守護神(しゅごしん)となります。

その後は、三年祭、五年祭、十年祭と一定の年忌(ねんき)で祖霊祭(それいさい)が営まれます。

五年祭 自宅

五年祭 ( 自宅 )

日々の営みは、祖霊の加護によるものであり、その御恩に感謝し、祭祀(さいし)を厳修(げんしゅう)するのが祖霊祭祀です。

追慕歌

いますごと目にも見え来てなつかしも今日のまつりにその世しのべば

むねあげのまつり

2015年3月14日 土曜日

今日は上棟祭(むねあげのまつり・じょうとうさい)のご奉仕がありました。

各種建物の新築工事において、棟木(むなぎ)を上げるにあたり、家屋の守護神、屋船久久能遅命(やふねくくのちのみこと)・屋船豊宇気姫命(やふねとようけひめのみこと)並びに工匠(たくみ)の神、手置帆負命(たおきほおいのみこと)・彦狭知命(ひこさしりのみこと)を祭って、新室(にいむろ)に災禍なく、永遠の守護を願う祭儀です。

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工匠の仕来(しきた)りであることから、神さまの依代(よりしろ)となる榊(さかき)の神籬(ひもろぎ)の後方には、扇車に鏡を取りかけた幣串(へいぐし)や、邪気払いの破魔矢・破魔弓などを飾ります。

方位神の鎮めとして、表鬼門(艮=うしとら 東北)・裏鬼門(坤=ひつじさる 西南)に餅や銭を撒(ま)く散餅・散銭の儀を行うのも特徴的です。

本日は一般家屋の棟上げのため、既に棟が固定されていることもあり略儀でしたが、「曳綱の儀」(ひきつなのぎ)と称して白布を棟木にくくり、建主と棟梁(とうりょう)が曳くのに合わせて、職方一同が「エイ、エイ、エーイ」と心一つに唱えました。

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取挙(とりあぐ)る棟梁(むねうつばり)は此の家長(いえぎみ=主人)の御心の林(栄える意)なり

神宮大麻都市頒布向上計画研修会

2015年3月6日 金曜日

伊勢の神宮会館において、第1回神宮大麻都市頒布向上計画研修会(5日・6日)が開催され、全国各地から64名の神職が参加しました。

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昨年、神社本庁において新しい3ヶ年計画を実施しましたが、初年度にあたり、全国の運用状況を確認するとともに、「神宮大麻」(じんぐうたいま)頒布(はんぷ)に関して抱いている課題点を共有し、是正・改善するための方途(ほうと)を探ることを目的にしたものです。

神宮会館

神宮会館

今次の施策についての説明はもとより、神宮大麻頒布の歴史・意義についてあらためて学び、分散会では6グループに分かれて今後の推進に向けた討議を重ねました。

また、現代人の神棚奉斎(かみだなほうさい)や神宮大麻に関する意識調査について考え、全体会では討論の結果を発表しました。

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明治4年までは、御師(おんし)といわれる人たちが神宮に仕え、全国各地へ赴いて「檀那」(だんな)「檀家」(だんか)と呼ばれる崇敬者のためにお祓い・祈祷(きとう)を行い、その「しるし」として「御祓」(おはらい)を配布したり、伊勢参宮の宿泊手配、饗応(きょうおう)などをしていました。

御師は「御師匠」「御詔刀師」(おんのりとし)の略称ともいわれ、太夫(たゆう)さんとも呼ばれていました。

12月を「師走」(しわす)といいますが、御師が御祓を配るのに走り回ったからともいわれています。

その制度が廃止され、明治5年には明治天皇の聖旨(せいし)により、新たに「神宮大麻」として神宮司庁(じんぐうしちょう)より各家庭に頒布されるようになりました。

(前略)(あした)に夕(ゆふべ)に皇大御神(すめおほみかみ)の大前(おおまへ)を慎(つつし)み敬(ゐやま)ひ拝(おろが)がましめ給(たま)ふと為(し)今年より始めて畏(かしこ)き大御璽(おほみしるし)を天下(あめのした)の人民(おほみたから)の家々に漏落(もれおつ)ることなく頒(わか)ちたまはむと(後略)

これは明治5年4月、神宮大宮司が「神宮大麻御璽奉行式祝詞」で奏上したもので、神宮大麻が天照大御神(あまてらすおおみかみ)さまの「大御璽」(おおみしるし=御神徳・御神威の象徴)であり、国民の家庭に漏れ落ちることなく頒布されるようにとの明治天皇の大御心が表れているものです。

内宮 宇治橋

内宮 宇治橋

早朝、外宮内宮を清々しく参拝し、奉製施設の見学を通して本研修の意義を再確認しました。

平日ながら、お伊勢さんに参る人の列は途絶えることなく、賑わいを見せていました。

五十鈴川

五十鈴川

夫婦の和

2015年3月2日 月曜日

終日降った雨も上がり、新しい月の新しい週の始まり、月参りの企業が佳き月であるように祈願を上げました。

境内には夫婦連れの参拝者も多く見られました。

今月の社頭ポスターは「夫婦の和」です。

社頭掲示 3月

社頭掲示 3月

近代日本の建設にあたり、教育の普及と道徳の実践を重要視された明治天皇は、明治23年10月30日「教育に関する勅語」をお下しになりました。

315字で綴られた本文には、大切な12の徳目「孝行」「友愛」「夫婦の和」「朋友の信」「謙遜」「博愛」「修学習業」「智能啓発」「徳器成就」「公益世務」「遵法」「義勇」が示され、私たち国民にとって普遍の道徳教育の基礎となっています。

昭憲皇太后御歌

むつまじき中洲にあそぶみさごすらおのづからなる道はありけり

夫婦はお互いに敬愛の心をもって睦じくありたいものです。

雛人形と桃の節句

2015年2月26日 木曜日

春の雨の一日でしたが、人形感謝祭(3月17日)の申し込みで雛人形(ひなにんぎょう)を抱えた家族がお越しになりました。

境内に飾られた雛人形は、女の子の無事成長の願いが込められたものです。

古雛(ふるびな)のため、人形に損傷があったり、手に持つ道具がなかったりと様々ですが、家家の歴史や思いが沢山詰まっていると思います。

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雛祭(ひなまつり)は、人の穢(けが)れを人形に移して川に流した祓えの神事です。当社ではこの古儀にならい、申し込みの際に半紙で象(かたど)った形代(かたしろ)を雛人形に付け、託された思いを形代に負わせて浄火で焚き上げます。

伊弉冉尊(いざなみのみこと)に会うため黄泉(よみ)の国を訪れた伊弉諾尊(いざなぎのみこと)は、その変わり果てた姿に驚いて逃げ帰る際、醜女(しこめ)に追いかけられ、比良坂(ひらさか)に成っていた桃の実を3つ投げつけて難から逃れました。

「上巳」(じょうし)である雛祭は、「桃の節句」でもあります。氏子の花農家の方から戴いた桃が、雛人形を邪気から守ってくれています。

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今日は家屋2棟の解体安全祈願祭がありましたが、古い建物にも様々な生活の思いが蓄積されています。

感謝の祈りは、明日への更なる元気を後押ししてくれることでしょう。

禊と祓

2015年2月24日 火曜日

本日、企業の社長さんから「社員が子供の霊を見たのでお祓いをして欲しい」との電話を頂きました。

先ずはお話を具(つぶさ)に伺ってからとなりますが、神道は祓えに始まって祓えに終わるといわれるほど明浄を尊ぶ宗教です。

祓所 伊奈波神社(岐阜県)

祓所 伊奈波神社(岐阜県)

伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉国(よみのくに)の汚穢(おわい)に触れたことから、筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小門(おど)の阿波岐原(あはぎはら)において、水に入り穢(けが)れを流し去ったのが「禊祓」(みそぎはらい)の起源とされます。

禊岩 土佐神社(高知県)

禊岩 土佐神社(高知県)

禊は「身滌ぎ」「身削ぎ」とも表現され、本来の清浄な姿、人間生来の心身に戻ることにより、神と交流し、融和することができるのです。

よくないことや忘れたいことを〝水に流す〟といいますが、これは神道の考えである禊をする意と理解できるでしょう。

五十鈴川の御手洗場 神宮(三重県)

五十鈴川の御手洗場 神宮(三重県)

また、「祓え」は素戔嗚尊(すさのおのみこと)が高天原で行った乱暴な行為に対する償(つぐな)いとして、八百万神(やおよろずのかみ)が千座置戸(ちくらおきと)を負わせ、贖(あがな)わせたことが起源といわれます。

つまり、自分の犯した罪を償(つぐな)い、障りや災禍を除く(解除 げじょ)ことと考えられます。

水盤 神魂神社(島根県)

手水鉢 神魂神社(島根県)

神社には、湧き水や清水が流れていたり、手水鉢に水が引かれています。また、手水舎(てみずや)として覆屋が設けられていたりします。

参拝する際、手を洗い、口を漱(すす)ぐのも心身の罪穢を祓い除くためのものです。

手水舎(重要文化財) 東照宮(静岡県)

手水鉢(重要文化財) 久能山東照宮(静岡県)

大きな祭事の折には、臨時に手水桶(てみずおけ)、柄杓(ひしゃく)、水受、拭紙(ぬぐいがみ)、拭紙受などの手水具を弁備することもあります。

手拭(てふき)には布ではなく、白い半紙を用いるのは衛生上の配慮といえます。

松尾大社(京都府)

亀の水口 松尾大社(京都府)

祓詞(はらへことば)

掛(か)けまくも畏(かしこ)き伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ) 筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小戸(おど)の阿波岐原(あはぎはら)に 御禊(みそぎ)祓(はら)へ給(たま)ひし時に生(な)り坐(ま)せる祓戸大神等(はらへどのおおかみたち) 諸(もろもろ)の枉事(まがごと)罪穢(つみけが)れ有らむをば 祓へ給ひ清め給へと申すことを聞こし食(め)せと恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(まを)す