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時鳥の聞き做し

2020年6月12日 金曜日

今日の境内では、夏鳥のホトトギス(時鳥・杜鵑・霍公鳥・郭公・子規・不如帰・蜀魂・杜宇・田鵑・沓手鳥など)の雄(おす)が「キョッキョッキョキョキョキョ」[他に「テッペンカケタカ」「ホゾンカケタカ」「特許許可局」などと聞き做(な)す]と鳴いていました。

『万葉集』に「霍公鳥(ほととぎす)来(き)喧(な)く五月(さつき)に」とありますが、正(まさ)しく〝喧(かまびす)しい〟(やかましい・さわがしい)という印象です。

春に鶯(うぐいす)の鳴き声をよく耳にしましたので、その巣に托卵[たくらん;他種の鳥の巣に産卵し、その鳥に抱卵(ほうらん)・育雛(いくすう)させること]したのかもしれません。

花札「藤に杜鵑」

花札「藤に杜鵑」

この鳥は卯月鳥(うづきどり)、早苗鳥(さなえどり)、文目鳥(あやめどり)、橘鳥(たちばなどり)、妹背鳥(いもせどり)、黄昏鳥(たそがれどり)、偶鳥(たまさかどり)、時つ鳥、田長鳥(たおさどり)、勧農鳥(かんのうちょう)、夕影鳥(ゆうかげどり)、夜直鳥(よただどり)、魂迎鳥(たまむかえどり)、死出田長(しでのたおさ)と数多(あまた)の異名をもつことでも有名です。

多くの和歌に詠(よ)まれ、古典文学や漢詩(かんし)に登場する印象深い鳥でということが分かります。

図鑑などを見ると毛虫(けむし)を好んで食すようで、ありがたい反面、樹木の消毒も気に掛けなければならない時期です。