‘なぜ?なに?’ カテゴリーのアーカイブ

御身大切に

2017年2月13日 月曜日

神道(しんとう)では、神さまや祖先の恩恵により命を授かり、現世(うつしよ)でその使命を果たし、御霊(みたま)は幽世(かくりよ)に帰り、祖霊(それい)となって子孫を見守るという、日本固有の祖霊信仰に基づく霊魂観(れいこんかん)をもちます。

日の本(もと)に生(うま)れ出(いで)にし益人(ますひと)は神より出(い)でて神に入(い)るなり

中西直方

そのことから、人が亡くなることを「帰幽」(きゆう)といいます。

昨日は、昨年帰幽された御方(おかた)の一年祭を斎場と墓前の両方でお仕えしました。

一年祭(墓前祭)

一年祭(墓前祭)

葬儀関係者にお話を伺うと、年末年始や2月が一番の繁忙期のようで、当社の統計でも12月から3月の間が最も神葬祭奉仕が多くなっています。

両親、またその両親、遡(さかのぼ)ってご先祖さまから頂いた尊い命ゆえ、受け継いだ魂(心)、いわゆる分身といえる〝御身(おんみ)大切に〟過ごすべき季節でもありましょう。

先祖の魂は子孫に伝はる我が身生れてあるは、即(すなわ)ち是(こ)れ、

先祖の身分れたる故也(ゆえなり) 林羅山

2677回目の誕生日

2017年2月11日 土曜日

「六国史」(りっこくし=日本書紀(にほんしょき)・続日本紀(しょくにほんぎ)・日本後紀(にほんこうき)・続日本後紀(しょくにほんこうき)・日本文徳天皇実録(にほんもんとくてんのうじつろく:文徳実録)・日本三代実録(にほんさんだいじつろく:三代実録))は、奈良・平安時代に勅撰(ちょくせん)により編纂された国史(こくし)で、中でも『日本書紀』(『日本紀』『紀』ともいう)は日本最古の歴史書にあたります。

天武天皇の第3皇子・舎人親王(とねりしんのう)が勅(ちょく)を奉(ほう)じて太安万侶(おおのやすまろ)らと編纂し、養老4年(720)に成立してから1297年、3年後には、編纂1300年という歴史的に大きな節目を迎えます。

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「辛酉年春正月(かのととりのとしはるむつき)、庚辰朔(かのえたつのついたち)、天皇橿原宮(すめらみことかしはらのみや)に即帝位(あまつひつぎしろしめす)。是の歳を天皇の元年と為(な)す。」と紀に記されていますが、神武天皇が橿原宮(奈良県橿原市)に即位された日を現行暦に換算したのが2月11日で、今日が2677回目の日本の誕生日です。

明治6年「紀元節」(きげんせつ)として祝日となりましたが、先の敗戦により廃止されたものの、国民の切実な願いにより昭和41年に「建国記念の日」という名で復活しました。

祝日法には「建国をしのび、国を愛する心を養う」と記されています。

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昔は紀元節を別名〝梅花節〟といったそうです。

欧米諸国では一国主義化が広がっていますが、私たちも日本の建国について理解を深めることが必要です。

それが国際社会で協調する第一歩であるとともに、今年は明治以来150年という年にあたり、国の有り様を見つめ直す機会ともいえそうです。

鶏鳴

2016年12月28日 水曜日

来年は皇紀(こうき)2677年、西暦2017年、平成29年、丁酉(ひのととり)年で、明治以来150年、大正以来106年、昭和以来92年となります。

皇紀は日本の紀元(きげん)で、初代・神武(じんむ)天皇が橿原宮(かしはらのみや)に即位した年(西暦紀元前660年)のことで、辛酉(かのととり)の年にあたり、来年は224回目の酉年にあたるようです。

因みに、今年は神武天皇が崩御(ほうぎょ)されてから2600年という年でした。

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丁酉の「丁」(ひのと=「火の弟」の意)は陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)では火性の陰に割り当てられ、十干(じっかん)の4番目、釘の原字で、草木が成長して安定している状態です。

「酉」は十二支(じゅうにし)の10番目、時刻は午後6時、方角は西(秋)、旧暦の8月、動物では鶏に当てられています。酒造りの季節にあたることから酒壺を意味する酉が使われ、秋の穫り入れ(実り)を表すといわれます。

神話では天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天岩屋(あめのいわや)に籠(こも)って常闇(とこやみ)となった時、〝常世(とこよ)の長鳴鳥(ながなきどり)〟(鶏の古称)を集めて鳴かせたことが記されています。

伊勢の神宮の二十年に一度の式年遷宮(しきねんせんぐう)では、「カケコー、カケコー、カケコー」と鶏鳴所役(けいめいしょやく)が三声(さんせい)を奏(そう)して浄闇(じょうあん)の中、遷御(せんぎょ)の儀が厳粛に執り行われ、神代(かみよ)の故事(こじ)が目出度き吉事(きちじ)として連綿と続いています。

年末年始

2016年12月27日 火曜日

官庁では明日28日は御用納めとなり、1月4日の御用始めまでの6日間は年末年始の休暇を迎えます。

民間企業では金融機関では4連休、一般的な企業では5連休、製造業では7~9連休など、休む人にとっては束の間ながら、まとまったお休みはありがたいことでしょう。

今日は金属加工業を営む企業の仕事納めにあたり、一年の厄災を祓う神事を執り行いました。

従業員が大掃除に専念する傍(かたわ)ら、工場内の各所を清めて回りました。

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さて、正月は一年の一番初めの月、または松の内(古くは元日から15日、現在では7日まで)をいいますが、他の月に比べると格段に多い新年行事をもさします。

初日の出、初詣、年賀状、お年玉、初夢、書き初め、七草粥(ななくさがゆ)、どんど焼き、門松(kどまつ)、鏡餅(かがみもち)、注連飾(しめかざり)、お節(せち)料理、お屠蘇(とそ)、雑煮(ぞうに)、歌留多(かるた)取り、双六(すごろく)、独楽(こま)回し、羽子突(はねつ)き、手毬(てまり)、凧揚(たこあ)げ・・・など、のんびりと日本独自の正月を楽しんで欲しいと思います。

正月は歳(年)神(としがみ)さま迎える神祭りの色合いが濃い一方で、盆に対応するもので、先祖の魂を迎える性格の行事でもあります。

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社務所では、神棚(かみだな)にお祭りする新しい御神札(おふだ)を頒布(はんぷ)するため、一日中参拝者の対応にあたっています。

29日は〝二重苦〟(にじゅうく)、31日は〝一夜飾り〟になることから、明日28日または30日に神棚に御神札を納めるご家庭が多いようです。

「古い御神札はいつ、どこに納めるのか」「今年は身内に不幸があったので家庭の祭りはどうしたらよいか」「新しく神棚を設けたい」など、年末年始ならではの疑問です。

扁額

2016年12月9日 金曜日

今日は御嶽神社(伊勢原市池端)において、新穀勤労感謝祭並びに大祓奉告祭、大祓神事を執り行いました。

明日は南金目神社(平塚市南金目)と八坂神社(平塚市入野)、明後日は真田神社(平塚市真田)と日月神社(伊勢原市沼目)と兼務社の祭事が続きます。

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御嶽神社では式後に新しい「神額」(しんがく)の清祓式を執り行いました。

仏閣では「寺額」(じがく)とも言われますが、一般的には「扁額」(へんがく)と呼び、建物の内外や鳥居などの高いところに掲げられます。

「扁」は平たい、横に長い額といった意味があるそうですが、古くから縦長の額が多く、縦長・横長を表すものでもなさそうです。

縁(ふち)の繰形(くりかた)が特徴的で、唐草の模様があります。

当社扁額 (三之宮郷土博物館蔵)

当社扁額 (三之宮郷土博物館蔵)

大雪と南天

2016年12月7日 水曜日

今日は二十四節気の「大雪」(たいせつ)で、初候は「閉塞成冬」(そらさむくふゆとなる)です。

雪こそ降らなかったものの、雲が空を覆い天地の気を塞(ふさ)ぎ、気温の上がらない真冬のような一日となりました。

明日は更に冷え込むようで、寒さ対策は万全になさった方が良さそうです。

雪降れば冬こもりせる草も木も春に知られぬ花ぞ咲きける 『 古今和歌集 』 紀貫之

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さて、今日はこの時期に赤い実をつける南天(なんてん)について触れます。

南天は〝難を転じる〟ということから、庭の鬼門(きもん=東北の方角)や裏鬼門(うらきもん=南西の方角)によく植えられていますが、江戸時代には火災除けの縁起木として植えられたようです。

初宮参りや初節句、七五三などのお祝いでは、赤飯に南天の葉が添えられ、厄除けの意味合いがありますが、南天に含まれる成分で傷むのを防ぐ効果もあるようです。

新潟県では「南天が多く実をつけると大雪、少ないと小雪」という言い伝えがあるそうです。食べ物の少ない冬に、鳥の好物となる赤い実ですが、鳥の糞(ふん)に含まれる種子で子孫を広げるわけで、大雪の寒い季節はより実をつけて種子を残そうとしているのかもしれません。

空気が乾燥するこの季節、生薬(しょうやく)として鎮咳効果のある南天の出番があるかもしれません。

厄年

2016年11月29日 火曜日

今年も余すところひと月余りとなりました。

電話(0463-95-3237)やメール(hibita38@gmail.com)などで、新年祈祷の問い合わせや申込みが増えて来ました。

平成29年 厄年表

平成29年 厄年表

今日は厄年についてお知らせ致します。

厄年の年齢(数え年)は、一般的に男性25歳・42歳・61歳女性19歳・33歳・37歳本厄(ほんやく)で、その前後が前厄後厄といわれています。

その中でも、42歳は〝しに〟33歳は〝さんざん〟という語呂(ごろ)から大厄(たいやく)とされます。

厄年を人生の節目や転換期と捉えたり、更なる飛躍がもたらされる甦(よみがえ)りの機会と認識することも重要です。

本業に精励(せいれい)するとともに、慎みの中にも精進(しょうじん)を重ねることが、「浄明正直」(清く明るく正しく直く)といわれる神さまのご神意(ごしんい)にかなった生き方といえます。

斎庭の稲穂に起源

2016年11月21日 月曜日

明日は二十四節気の小雪(しょうせつ)ですが、当地でも明明後日には雪の予報が出ました。

北風が木の葉を散らす季節ですが、午後からの雨で落葉が地面にべったりとしています。

明日の〝いい夫婦の日〟(11月22日)に合わせ、午後には神前結婚式がありますので、境内清掃も張り切るようです。

氏子中の献穀米

氏子中の献穀米

さて、23日(水)は勤労感謝の日です。

宮中(きゅうちゅう)の神嘉殿(しんかでん)では、天皇陛下が新穀を天神地祇(てんしんちぎ)に御親供(ごしんく)なされ、御自ら召し上がりになる新嘗祭(にいなめさい・しんじょうさい)が行われます。また、全国津々浦々の神社では収穫に感謝するお祭りが厳粛に行われます。

当社でも比々多地区内氏子中の新穀、篤農家(とくのうか)の献穀米[粳米(うるちまい)・糯米(もちごめ)](30㎏入/袋)、野菜や果物等をご神前に横山の如く並べて、午前10時に新穀勤労感謝祭を大祭式で執り行います。

天照大御神(あまてらすおおみかみ)が「吾(わ)が児(みこ)にまかせまつるべし」としてお授けになった「斎庭の稲穂」(ゆにわのいなほ)に起源を発する祭典であり、単に勤労や生産に感謝するものではありません。

天地ともに永久に長く久しく

2016年11月3日 木曜日

今日は国民の祝日で「文化の日」。

祝日法には「自由と平和を愛し文化をすすめる」とうたわれています。

明治天皇の御誕生日にあたるこの日は、昭和2年に「天長節」として祝日となりましたが、GHQの意向で祝祭日は廃止され、現在の国民の祝日に関する法律(祝日法)が施行され文化の日に変わりました。

また、皇后陛下の御誕生日を「地久節」といいました。

これは「天長地久」(『老子』)からきていますが、天地ともに永久に長く久しくの意です。類義語に「天壌無窮」(『日本書紀』)という語があります。

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全国津々浦々の神社では、例祭(大祭)はもとより、毎月2回の月次祭や朝夕の日供祭において、皇室の弥栄、国の繁栄を祈りますが、まさしく〝 天長地久 〟の願いです。

鞴祭の打ち合わせ

2016年11月2日 水曜日

日差しがない上に雨がぱらついて、気温の上がらぬ冬の寒さの一日となりました。

今日は企業の方と「鞴祭(ふいごまつり)」の打ち合わせがありました。

鞴祭は鍛冶屋(かじや)、鋳物師(いものし)など、鞴を用いる人たちの行事で、鞴を清めて鉱山の神さまをおまつりします。

お供えした蜜柑(みかん)は風邪薬ともいわれます。

工場以外でもボイラーなどの暖房施設を有するところでは火入式として行われています。

旧暦11月8日の行事ですが、当社では立冬(今年は11月7日)前後に毎年依頼を受けています。

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