例祭後の直会(なおらい)を終えて間もなく、神輿渡御(みこしとぎょ)の始まりです。
三和会、栗原祭保存会、神戸保存会の青年たちは、それぞれの氏子内において、藁火(わらび)の上を「火渡り」で外清浄(げしょうじょう)、「立ち御神酒」で内清浄(ないしょうじょう)を行い、宮総代の迎えを待ちました。
気持ちの高ぶりと緊張感が伝わる一場面です。
境内では各青年会の宮詰め時間を、今か今かと待ち受けていました。
供奉行列(ぐぶぎょうれつ)の諸役を召(め)し立て、それに「オー」と呼応する奉仕者に大きな拍手が起こりました。
「出立」(しゅったつ)の合図とともに、行列がお立ちとなりました。
権現堂の化粧塚(けしょうづか)は、昔は旅の装束に着替えるところで、身なりを整えて御旅所(おたびしょ)へ向かいます。
三ノ宮・栗原から神戸渡しとなる前に、宮司が振奉幣(ふりほうべい)を執り行い、神霊(みたま)の更なる発揚(はつよう)を願います。
神戸の行在所(あんざいしょ)に着御(ちゃくぎょ)すると、お着きの式を執り行い、暫(しば)しの休息となります。
今度は発輿祭(はつよさい)を執り行い、神幸祭(しんこうさい)も帰りの旅路となります。
神楽殿(かぐらでん)では、伝統の里神楽(さとかぐら)が演じられ、神話の世界に誘(いざな)われていました。
また、境内には植木市や露店が出揃い、行列の帰りを心待ちにしていたと思います。
いよいよ神戸原からは、行列に三基のからくり人形山車が加わり、祭りの雰囲気も一層華やかに、賑やかになります。
残念なことに、天気予報とは裏腹に、雨粒が落ち始めました。
この頃には、カメラのレンズを構える愛好家が、黒山の人だかりとなっています。
宮入を間近に、青年の発する「イヤートーサーセッ」(弥遠長に栄え給え)の声は大きく、太鼓の音も最高潮に達します。
玉垣に設置された墨絵の雪洞(ぼんぼり)や提灯(ちょうちん)に明かりが灯(とも)り、神さまの還御(かんぎょ)の道を照らしました。
ご到着を告げる神鐘(かね)が境内に響き、殿内でも報鼓(ほうこ)が打ち鳴らされます。
神輿は参道を真っ直ぐに、氏子青年の手により殿内に着けられ、すぐさま神霊が本殿へとお遷(うつ)りになります。
神輿の鎮座(ちんざ)を寿(ことほ)ぎ、当社に伝わる伝統の粽(ちまき)行事が行われました。
最後のお祭り、鎮座祭(ちんざさい)で結びとなり、今年の例祭も滞りなくご奉仕することができました。
ご関係の皆様に感謝御礼申し上げます。