‘なぜ?なに?’ カテゴリーのアーカイブ

遵法

2015年11月3日 火曜日

今日は国民の祝日の一で「文化の日」。

祝日法には「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と記され、皇居では文化勲章授与式が行われました。

明治天皇のお誕生日にあたり、かつては「明治節」として国民に親しまれてきました。

社頭掲示 霜月

社頭掲示 霜月

さて、今月の「まことの道」は教育勅語(正式文書=教育ニ関スル勅語:明治23年10月30日発布)の十二徳「遵法」(じゅんぽう)です。

「常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ」(つねにこっけんをおもんじこくほうにしたがい)という部分で、「法律や規則を守り社会の秩序に従いましょう」の意です。

山形有朋(やまがたありとも)内閣のもと、井上毅(いのうえこわし)とともに起草にあたった元田永孚(もとだながざね)は、この部分が天皇の大権に制限を加えるものだとして、草案から削除しようとしたところ、明治天皇から「いや、あれは必要だから残しておけ」というお言葉があったので最終的に残ったそうです。(大原康男著『教育勅語』解説)

法治国家の国民たるに相応しく、近代憲法を下から支える国民であってほしいという願いをこめられたものではないでしょうか。(勝岡寛次著『明治の御代』)

明治天皇御製 国

おごそかにたもたらざめや神代よりうけつぎ来たるうらやすの国

神戸

2015年10月26日 月曜日

昨日の午前9時、秋の祭礼「正祭」(しょうさい)を斎行しました。

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現存の『社伝記』(天保5年)によれば、「第十代 崇神(すじん)天皇の七年、神地「神戸」(ごうど)を奉られ」とあり、そのことに感謝する由縁の祭典(現在は10月17日に近い日曜日)です。

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『日本書紀』巻第5の「御間城入彦五十瓊殖天皇」(みまきいりひこいにゑのすめらみこと=崇神天皇)の七年の項には、神地(かむどころ)・神戸(かんべ)を定めたことが記されています。

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即ち、「世の中に疫病が流行し災害が起こるのは、善政が無いために咎めを受けているのだ」と、崇神天皇は八十萬神(やそよろずのかみ)を集めて占い、大田田根子(おほたたねこ)に大物主大神(おほものぬしのおほかみ)を祭らせ、百官とともに祈ることにより神慮(しんりょ)をなだめ、はじめて疫病が止み、五穀が実り、国民が賑わったということです。

その結果、天社(あまつやしろ)・国社(くにつやしろ)、また神地・神戸を定められたことが記されています。

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現在、氏子地域には神戸(ごうど)が地名として、神戸(かんべ)が姓として名残をとどめています。

七五三について

2015年10月6日 火曜日

10月に入って七五三参りの問い合わせが増えてきました。

七五三は七・五・三という陽数を男児・女児の年にあてはめたもので、三歳男児・女児の「髪置」(かみおき)、五歳男児の「袴着」(はかまぎ)、七歳女児の「帯解」(おびとき)という儀式に由来するものです。

これまでの成長に感謝し、さらなる無事成長を祈るもので、11月15日にお祝いをします。

11月15日に祝うことになったのは、この日が二十八宿(にじゅうはっしゅく)の鬼宿日(きしゅくにち)にあたり、何事の祝い事にも最良の日であることから、また収穫の時期である霜月のまつりに合わせたという説などがありますが、五代将軍徳川綱吉が子の徳松の祝儀をこの日に行ったことに由来するともいわれています。

753「七つまでは神の子」と古くからいわれるように、生命(霊魂)が安定し、神さまと人の変わり目に位置する大切な節目にあたるわけです。

七五三に欠かせない「千歳飴」の袋には、鶴・亀・松・竹・梅などが描かれていて、幾久しく健やかな成長の願いが込められています。

社頭では、お祝いの千歳飴(県内特製)を準備しています。

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神社では随時(8:30-16:30)七五三のご祈願を承っていますが、恒例の祭事や結婚式などの予定がありますので、念のため電話でご連絡ください。

命名相談

2015年10月3日 土曜日

昨日は爆弾低気圧による暴風の影響で、境内も大荒れとなりましたが、倒木や建物被害などもなく、清掃して元の静かな境内に戻りました。

今年も靖國神社から来年の暦(平成28年・皇紀2676年・西暦2016年・丙申・閏年)が到来しました。

当社の暦(開運暦・寶運暦)も程なくご案内できると思います。

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最近はあまり多くありませんが、3件の命名相談が重なりました。

民法では生後14日以内に出生届を出す決まりですが、古くから生後7日目の「お七夜」に命名するのが名付け祝いです。

名付けによって霊魂が身体に宿り、人格が備わると考えられています。

命名は五格(天格・人格・地格・総格・外格)による吉凶や字の意味、読み、音の響き、姓名のバランスなどの判断、そしてどういう子に育って欲しいかといった子供の幸せを願ってつけられます。

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名前が決まれば、命名書や奉書(ほうしょ)に名を記し、神棚や床の間に貼ってお祝いをします。

命名のご相談は社務所にお尋ね下さい。

葬儀にあたり

2015年9月22日 火曜日

昨晩(21日)・本日(22日)と神葬祭(しんそうさい)のご奉仕がありました。

89歳の生涯を閉じられたお母さんの葬儀にあたり、19日に喪主さんが来社され日程を決定しました。

その日のうちに、生い立ちや経歴、人柄など伺い、20日に生前の徳を追憶(ついおく)して述べる祭詞「誄詞」(しのびごと・るいし)をしたためました。

また、御霊代(みたましろ)となる白木(しらき)の「霊璽」(れいじ)の表には「 何 某 媼 之 霊 」( なにがし おうなの れい ) といった霊号(れいごう)を、裏に生年月日、帰幽(きゆう)年月日、享年(きょうねん)を書き記しました。

そして、当日は葬儀用の薄墨色(うすずみいろ)である「鈍色」(にぶいろ・にびいろ)の装束一式を整えて斎場に向かいました。

斎場の設営、玉串の本数、各種祭儀の流れや進行などについて十分に打ち合わせのうえ、葬儀に臨みました。

sinnsousai親族が亡くなると、身内は喪(も)に服(ふく)しますが、故人と向き合って葬儀などに専念し、忌(い)み慎んで籠(こも)る一定の期間を「忌」(いみ・き)、「喪中」(もちゅう)、「忌中」(きちゅう)といいます。

地域により慣例はありますが、一般的には五十日祭までが忌の期間です。

喪主は神棚に亡くなったことを奉告するとともに、感謝と葬儀が無事進められるよう祈ります。そして神棚の前面に半紙を貼り、一時的に神まつりを止めます。

また、神社で病気平癒などの祈祷を受けた場合には、親族以外の者による代理参拝を行うか、遠くより遙拝(ようはい)して祈願を解きます。

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しづかなる境(さかひ)に行(ゆ)きてしづまらむ暫(しば)しをここに魂(たま)より来(き)たる

平和の願い

2015年9月16日 水曜日

長月も半ばを迎え、昨日は月次祭(つきなみさい)を執り行いました。

国会やその周辺では、安全保障関連法案をめぐって喧(かまびす)しい動きが見られます。

日本を取り巻く環境の変化に対応し、国際情勢の危険を避けるため、そして何より国民の安全と国家の安寧を守るため、平和安全法制の整備がなされることは非常に重要なことです。

ご神前に額づき、皇室のご安泰と国家の平和、そして氏子・崇敬者の安心を静かに祈り上げました。

鶴岡八幡宮

鶴岡八幡宮

さて、毎年9月15日は鶴岡八幡宮から例祭のご案内を賜り、可能な限り参列しています。

鎌倉の八幡さんにも狛犬が置かれていますが、神さまの〝 神使 〟(しんし)をご存じでしょうか。

神使は使わしめ、眷属(けんぞく)ともいわれ、神さまと縁故のある鳥獣虫魚の類で、稲荷の狐(きつね)、春日明神の鹿、天神の牛、日吉山王の猿、熊野の烏(からす)などと同様、八幡さんは鳩がお使いとされています。

源氏の氏神として尊崇された神さまですが、武家の精神のよりどころとなり、国家鎮護の神さまとして全国の崇敬を集めました。

境内では子供たちに親しまれる鳩ですが、その鳩にも平和の願いを寄せてお宮に戻りました。

玉垣

2015年8月28日 金曜日

社殿や神聖なところを限るために、周囲に繞(めぐ)らした垣を「玉垣」(たまがき:玉籬)といいます。

木造、石造などがありますが、古くは樹木で囲む「柴垣」(しばがき)であったと考えられています。

〝玉垣の内つ国〟は日本国の美称です。

伊勢の神宮では板垣、外玉垣、内玉垣、瑞垣(みずがき)と丁重に四重の垣(木造)が設けてあります。

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当社本殿の周囲には、古色を帯びた石造の玉垣がありますが、建立の年号は明治21年(1888)10月となっていますので、今から127年前です。

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また、関東大震災(大正12年9月1日)による倒壊があり、大震災復旧工事と記された玉垣も何本か見られます。

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個人による寄進もありますが、氏子中や伊勢原市内はもちろんのこと、「東田原村中」「今泉村中」(秦野市)、「厚木町中」「戸川村中」(厚木市)「万田村中」「真土村中」(平塚市)など、その多くが近隣の村内からの奉納となっています。

また、遠くは「八王子村中」(東京都)や「近村商人中」などというものもあり、延喜式内社や相模國三之宮としての信仰の広がり、その由緒や風格を物語るものといえます。

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無事出産の神さま

2015年8月26日 水曜日

今日は安産祈願の戌の日

「満潮(みちしお)のごとく月日は満ち・・・輝く玉のごとき嬰児(みどりご)の産声(うぶごえ)も高らに・・・」

と安産祈願の祝詞(のりと)を奏上(そうじょう)しました。

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当社のご祭神には、大酒解神(おおさかとけのかみ)として山の神である大山祇神(おおやまつみのかみ)、小酒解神(こさかとけのかみ)としてその娘である木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)がお祀(まつ)りされています。

記紀神話によれば、木花咲耶姫命は天孫(てんそん)・瓊瓊杵命(ににぎのみこと)の后(きさき)となって一夜のうちにご懐妊されますが、貞操(ていそう)を疑われたことの証(あかし)をたてるため、戸の無い産屋の中に火を放ち、無事に三柱の神をお産みになりました。

木花咲耶姫命は富士山に鎮座する浅間大社のご祭神ですが、富士山は大いなる母体、あるいは火中で出産したことから火山ともいえます。

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三之宮は〝 産の宮 〟にもつながり、無事出産の神さまのご加護のもと、元気で丈夫な赤ちゃんの誕生を楽しみにしています。

職名と階位

2015年8月12日 水曜日

本日は所管社の住居表示が変更になったことから、法務局に出向いて変更登記の申請を行いました。

私たち神職は心身の清浄を保ち、祭祀を正しく厳かに行うことが最大の役目ですが、その他にも神社の運営管理を適切に行わなければなりません。

神社ごとに異なりますが、神職には上から宮司(ぐうじ)、権宮司(ごんぐうじ)、禰宜(ねぎ)、権禰宜(ごんねぎ)、出仕(しゅっし)などの「職名」が存在します。

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神職になるためには、神社神道に対する信仰心や奉仕の精神がなければなりませんが、神社本庁の試験に合格するか、各種養成機関において所定の学科の単位を取得した上で、必要な神務実習を修了し、「階位」という資格を得なければなりません。

階位は上から浄階(じょうかい)、明階(めいかい)、正階(せいかい)、権正階(ごんせいかい)、直階(ちょっかい)となっています。

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神職に任用されても経験と研鑽を積むことが何より大切であり、生涯教育として神社本庁や各都道府県の神社庁が主催する様々な研修、各支部で行われるものなどがあります。

今日は相模中連合支部事務局から祭式研修の案内が届きました。

生も神意、死も神意

2015年8月11日 火曜日

一昨日・昨日は神葬祭のご奉仕がありました。

仏教が伝来してより葬儀はお寺を中心に行われ、江戸時代の寺請制度によって専ら僧侶に委ねられることになりました。

しかしながら、仏・法・僧に帰依(帰依三宝)するという仏教信仰の内実には、我が民族固有の信仰といってもよい「祖先崇拝」に重きがおかれています。

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江戸時代中期頃より復古的自覚が強まり、明治初年の神仏分離に至って神職による葬儀が許可されるようになりました。

そして、神道信仰の根本要素である祖霊祭祀が神葬祭として行われるようになりました。

人生儀礼といわれる結婚式や安産祈願、初宮参り、七五三、成人式、厄年祓、年祝などと同様に、葬儀は人生最後の祭であり、「生も神意、死も神意」といわれる所以(ゆえん)です。

神道儀礼は〝 祓 〟に始まりますが、清め清めて悲しみや不幸を浄化するのです。

日の本に生れ出でにし益人(ますひと)は神より出でて神に入るなり 中西直方

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