‘なぜ?なに?’ カテゴリーのアーカイブ

袍の色目

2021年2月16日 火曜日

社務所前の豊後梅がようやく花開きました。

控えめな淡紅色(たんこうしょく)の色合いが、春浅い季節にぴったりです。

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さて、古く紅色(赤)は「禁色」(きんじき)といって、殿上人(てんじょうびと)以下の諸臣(しょしん)が用いることが禁ぜられ、「聴色」(ゆるしいろ=許色)として淡い色を着用しました。

位階(いかい)により、袍(ほう)の色目には規定があり、現在でも黄櫨染(こうろぜん)の御袍(ごほう)は天皇陛下が晴(はれ)の束帯(そくたい)に着用する黄褐色(おうかっしょく)の袍です。

明日は神社祭祀規定により、大祭に分類される「祈年祭」(きねんさい)です。

宮司は祭祀服装に関する規定により、正装(せいそう)し、赤色の袍を着装して祭儀に臨みます。

注連縄張り

2021年2月14日 日曜日

今朝は大総代と総代による祈年祭(きねんさい)準備で、各所の注連縄(しめなわ)張りが行われました。

コロナ禍により、心ならずも祭事の縮小や省略化等の状況が続く中にあって、注連縄を張り替えることにより、神社の神聖や清浄さを保っています。

神事の前に行うことにより、邪気を祓ひ、災禍を避ける意味合いがあります。

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皇室の伝統を守り伝える

2021年2月11日 木曜日

今日は国民の祝日「建国記念の日」で、日本の2681回目の誕生日(皇紀2681年)にあたります。

「祝日法」(国民の祝日に関する法律)には、「建国をしのび、国を愛する心を養う」と明文化されています。

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初代の神武天皇(じんむてんのう)【『古事記』では「神倭伊波禮毘古命」 、『日本書紀』では「神日本磐余彦尊」の表記(かんやまといわれひこのみこと)】が橿原(かしはら)の宮に即位された日を、明治改暦の折に換算して2月11日と定め、明治6年に「紀元節」(きげんせつ)として祝日となりました。

戦後は一旦廃止となったものの、多くの国民の声により、昭和41年に祝日として復活しています。

また、今日は大日本帝国憲法が発布された日(明治22年)にもあたります。

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日本の皇室は神話に起源を遡(さかのぼ)る世界最古の王室であり、王朝の断絶や交替が一度もなく、同じ血統の男系(父方系)で126代にわたり継承されてきました。

この世界に誇る皇室の伝統を守るためには、皇位の安定的継承を確保する必要があります。

長い歴史と伝統により育まれた我が国の国柄や在り方を踏まえつつ、現憲法下でも皇族としてのお立場にあった旧宮家の男系男子孫の方々が、再び皇族となることを可能にするための法整備が、最も違和感のない無理のない方法であると考えられています。

朔日詣

2021年1月27日 水曜日

1月22日のブログにも掲載しましたが、2月1日には「朔日詣」(ついたちもうで)の御朱印(書置きのみ)を授与します。

大礼紙(たいれいし)という黄色の和紙を用いています。

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『広辞苑』に、朔日は「ツキタチ(月立ち)の音便。こもっていた月が出はじめる意。」とありますが、明治5年まで用いられた旧暦の太陰太陽暦(たいいんたいようれき=陰陽暦)では、月の満ち欠けで1ヶ月の日付を決めるため、新月(しんげつ)の日を朔(さく)といいました。

現在では月の第1日のことを朔日といい、正月1日(元旦)を始めとして、毎月1日には普段より多くの参拝者がお見えになります。

当社でも毎月朔日には、社業安全・商売繁昌を願う会社の祈祷や参拝が多く見られます。

正直

2021年1月25日 月曜日

一昨日・昨日の降雨により、年末から続いていた乾燥注意報も解除され、境内にも潤いがもたらされました。

雨の上がった今朝は、晴れやかな月曜日を迎えています。

杉の御神木も水分を吸収し、お日様の光を浴びるため、青空に向かって更に高みに真っ直ぐに伸びているように思えます。

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『倭姫命世記』(やまとひめのみことせいき)には、「日月は四州(よも)を廻(めぐ)り、六合(くに)を照(てら)すと雖(いえど)も、須(すべから)く正直の頂(いただ)きを照らすべし」とありますが、「正直の頭(こうべ)に神宿る」のことを表したものです。

古くから神道では、「清浄」と「正直」の二徳を重んじていますが、これは正直が大切であることを示したものです。

災いを塞いで守護

2021年1月14日 木曜日

当地では毎年1月14日は、正月の閉ぢめ行事として、村境などで七五三(しめ=注連)飾りを持ち寄って焼く「どんど焼」が行われます。

地方により、どんど、とんど、左義長(さぎちょう=三毬杖)、道祖土焼(さいとやき)、御幣焼(おんべやき)などといわれます。

火が盛んに燃えるさまを〝どんど〟といいますが、今年はコロナ禍により、中止にするところが多くあり、当社にも問い合わせの電話が数多く入りました。

道祖神祭(神戸)

道祖神祭(神戸)

今日は兼務する木下(こかげ)神社(伊勢原市神戸)の例祭式でした。

その後、神戸(ごうど)公民館に移動し、上地区と下地区の道祖神祭(どうそじんさい)を執り行いました。

例年は門松や注連飾りを用いて、道祖神を覆う大きな御仮屋(おかりや)が2つ(上と下)作られますが、感染症防止の観点から〝奇祭〟として報道でも取り上げられる神戸のどんど焼は大幅な縮小となりました。

祭儀では道祖神のもつ災い(疫病)を塞(ふさ)いで守護する御神威(ごしんい)の発揚(はつよう)を願いました。

牛にあやかる

2021年1月3日 日曜日

参拝者が最も多く訪れる初詣にあたり、感染症対策をどう実施していくか、数ヶ月にわたり研究と実践を試行錯誤してきました。

年末年始になって、恐れていた感染状況が拡大し、神社・仏閣への初詣は報道の通り、大幅な減少となりました。

2日の朝日

2日の朝日

当社でもかつてない程のまばらな参拝状況で、感染防止対策への警戒と安堵が入り交じり、非常に複雑な心境となっています。

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文武天皇の慶雲3年(706)には、疫病を祓うために土牛(どぎゅう:土で作った牛の像)を宮城の門口に立てた事が『続日本紀』に記されています。

また、菅原道真(すがわらのみちざね)公をおまつりする神社、天神(てんじん)さまには、「使いの牛」が見られますが、「撫牛」(なでうし)といって、自分の病気を治す信仰が今なおあります。

信仰が科学だった時代とは異なりますが、丑歳(うしどし)にあたり、牛の神秘な力にあやかりたいです。

因みに、当社境内にも天神さまがおまつりされています。

千代の御在所

2020年12月19日 土曜日

本日は兼務社の祭事がないこともあり、神道による葬儀を営んだ神葬家(しんそうけ)の埋葬祭(まいそうさい)をご奉仕しました。

九州では納骨の施設をもつ神社も多くありますが、当地では個人墓地もしくは宗派を問わない寺院の墓地、あるいは霊園で行うことが多く、今日は寺院所有の納骨堂(室内墓)で執り行いました。

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故人のご逝去後に施設を求められたこともあり、祭詞ではあらましをご奉告し、「・・千代(ちよ)の御在所(みありか)と思召(おぼしめ)して御心(みこころ)平穏(おだい)に鎮(しず)まり坐(ま)せと・・」と安らかに永久にお鎮まり下さいますよう祈りを捧げました。

清浄で穢れのない

2020年12月14日 月曜日

昨日は煤払いが行われる中、境内では三ノ宮・西谷戸組のご奉仕による、大注連縄(おおしめなわ)の掛け替えが行われました。

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既に11月22日に、鳥居と杉の御神木に取り付ける大注連縄の縄綯(なわな)い作業は終っていますが、験(げん)を担(かつ)いで朝の早い時間に行われています。

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高所の作業ですが、安全を期して無事に行われました。

注連縄は不浄なものの侵入を禁ずる印(しるし)として張られるものであり、清浄で穢(けが)れのない神聖さを示しています。

相模ハ酒醸ナルベシ

2020年11月11日 水曜日

青空の広がる霜月の今日の佳日(よきひ)、酒造神(しゅぞうしん)である酒解神(さかとけのかみ)を称(たた)えて「酒祭」(さかまつり)を斎行(さいこう)しました。

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午前9時半にお宮を出発し、栗原(くりばら)の沢山(さわやま)にある三段の滝へと向かいました。

滝の脇に鎮座する水神さまに御饌御酒(みけみき)をお供えして、水神祭(すいじんさい)の始まりです。

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宮司や神社責任役員はもとより、蔵元、卸、酒販店、総代が順番に、湧き出る清水を桶(おけ)に汲(く)み上げました。

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山を下りて神社に戻り、神職は装束(しょうぞく)、総代は羽織袴(はおりはかま)に着替えて「酒祭」を執り行いました。

祭儀では県指定文化財の神実(かむざね)「うずらみか」に沢山の御神水(ごしんすい)を湛(たた)え、海川山野種種味物(うみかわやまぬのくさくざのためつもの)をお供えして、新酒の醸造安全、酒類業の商売繁昌を祈請(きせい)しました。

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伴信友(ばんのぶとも:江戸後期の国学者)は〝相模は酒醸(さかがみ)なるべし〟といっていますが、今年も酒解奉賛(さかとけほうさん)の御生(みあれ)の神事を恙(つつが)なくお仕えすることができました。